「ちょっと近道」のつもりが……。新多魔エリアの『異次元ポータル』で転落事故! 3人が行方不明、またも「次元ガード」の設置遅れが露呈か

現代的な都市の歩道に現れた、青白く光る異次元の裂け目。警察官がその周りを調査しており、通行人が遠巻きに見ている。
事故が発生した新多魔市の交差点。規制線の奥には、今も静かに口を開けるポータルの歪みが見える。

歩道にポッカリ空いた異次元への穴。昨今の通勤ラッシュではもはや「駅の階段」と同じくらい当たり前の存在だが、ついに恐れていた事態が起きてしまった。

2026年2月21日の午前8時45分ごろ、再開発が進む新多魔市の「中央ポータル交差点」付近で、通行人3名が異次元ポータルに転落し、行方がわからなくなる事故が発生した。

この世界において、路上に浮遊するポータルは「ゴミ箱」や「公衆電話」と同じくらい景観に馴染んでいる。実際、現場を通りかかった会社員の佐藤さん(仮名・42歳)は、「スマホを見ながら歩いていたら、前の人がヌルッと空間に溶けて消えた。あ、これ今日遅刻するやつだ、と思った」と、驚くほどドライな感想を述べている。

しかし、今回のケースは笑えない。多魔署によると、転落したのは通勤中の会社員2名と、登校途中の男子高校生1名。通常、都市部のポータルは「安定化魔法」によって出口が固定されているはずなのだが、現場のポータルは「メンテナンス中」の札が強風で飛ばされていたというのだ。

「最初は『亜空間ショートカット』のつもりで飛び込んだんだと思います」と語るのは、現場に駆けつけた同署の次元交通課の巡査だ。「でもね、調べたらこの穴、接続先が昨夜から『未踏の浮遊島』に切り替わっていたんですよ。片道切符です。せめて落下防止用の黄色いテープさえ残っていれば……」。

市役所の「ポータル維持管理課」には、住民からの苦情が殺到している。というのも、この地域のポータルは数ヶ月前から「色が薄くなって見えにくい」との指摘があったからだ。市は再発防止策を検討しているというが、予算の関係で「ポータルの周りにコーンを置く」という、あまりにもアナログな対応でお茶を濁す構えだ。

このずさんな管理体制に対し、専門家は懸念を示している。亜空間工学の第一人者、大宮ナノ博士はこう指摘する。 「最近のポータルは高出力化しており、吸い込み係数が上がっている。歩きスマホをしていれば、吸い込まれるまで気付かないのは当然だ。行政は『落ちる方が悪い』というスタンスを捨て、全ポータルに物理的な自動シャッターを設置すべきだ。そもそも、通学路にブラックホールまがいの穴が開いていること自体、教育環境としてどうなのか」

ちなみに、不明となった3人のうち1人は、消える直前に「あ、Wi-Fi入らなくなった」と叫んでいたという目撃証言もある。異次元でも電波が繋がればいいのだが、キャリアのエリア外であれば救助信号すら出せない。

「近道」の代償が「次元の迷子」では、あまりに割に合わない。筆者も明日からは、どんなに急いでいても、地面に怪しい揺らぎがないか3回は確認して歩くことにする。

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