元恋人の記憶削除サービス合法化から半年 “復元騒動”多発で窓口パンク状態

日本の郊外にある医療クリニック前に並ぶ人々と警察官の様子、復元申請で混雑する風景
復元申請で行列ができた記憶調整クリニック前(月見野市)

元恋人の記憶を消去できるサービスが合法化されて半年。
今度は「やっぱり戻したい」という復元希望が急増し、各地で小さな騒動が起きている。

白砂県月見野市で21日午後4時ごろ、記憶調整クリニック前に利用者およそ60人が詰めかけ、一時騒然となった。目的は“元恋人記憶の復元申請”である。月見野南署によると、整理券配布を巡って口論となり、軽微なもみ合いが2件発生したという。けが人は出ていないが、現場は妙にエモーショナルだった。

元恋人の記憶削除サービスは昨年10月、「情動整理医療法」の改正により合法化された。指定医療機関で15分ほどの施術を受ければ、交際期間や顔、声、黒歴史までをピンポイントで消去できる。費用は基本プランで12万円。月見野市内ではこれまでに3,842件が実施され、満足度は市発表で87%だという。なるほど、恋のリセットボタンである。

ところが最近、「やっぱり戻したい」という復元相談が急増している。市内の復元申請は今月だけで412件と、前月比2.1倍。理由の上位は「共通のサブスクのパスワードが思い出せない」「犬の名前が分からない」「なぜ別れたのか知りたい」の順だ。いや、そこは消す前に調べるか覚えとけ。

月見野市役所情動福祉課は「削除前の“感情バックアップ”を推奨している」と説明するが、実際にはバックアップ未設定が約6割に上る。市は再発防止策を検討しているとし、来月から“お試し半日消去プラン”を導入予定だという。期間限定で忘れてみる、という発想である。

一方、心性工学研究所の専門家は懸念を示している。「記憶は痛みだけでなく学習も含む。頻繁な削除と復元は情動の安定性を損なう可能性がある」と指摘する。とはいえ、クリニック前で並ぶ人々の表情はどこか晴れやかでもある。

近隣住民は「最近、同じ人が“初対面です”と言いながら出入りしている」と苦笑いする。恋は盲目と言うが、今や選択式だ。削除も復元も手続き次第。窓口の番号表示は今日も淡々と進んでいる。正直、少しだけ人間らしさの扱いが雑になっていないか、記者は考えてしまう。

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