「高収入!杖を振るだけ!」巧妙化する『闇魔法バイト』のワナ 若者を狙うSNS勧誘に魔導警察が警鐘

薄暗い部屋でスマートフォンの画面を見つめる若者の横顔。画面の光が顔を照らし、机には黒い魔法の杖が置かれている。
SNSで「高収入」の誘い文句に触れる若者(イメージ)。手元には支給されたとされる不審な杖。

SNSを通じて違法な術式行使に加担させる「闇魔法バイト」が深刻化している。かつての「怪しい黒魔導士が路地裏で勧誘」というスタイルはもはや過去のもの。今、若者たちはスマートフォン一つで、知らぬ間に国家を揺るがす禁忌呪文の片棒を担がされているのだ。

2026年2月20日午後、聖マギウス県警魔導犯罪対策課は、魔導公序良俗違反の疑いで、自称・召喚士の男(24)ら3人を逮捕した。調べに対し、男らは「魔力不足の高齢者に代わって、生活支援の魔法をかけていただけ。ホワイトな仕事だと思っていた」と供述している。

聖マギウス署によると、容疑者らは「魔導ギルド未加入でも可」「短時間で10万ゴールド」「MP全回復ポーション支給」といった甘い言葉をSNS上に投稿。応募してきた10代から20代の若者に対し、匿名性の高い通信魔法「テレグ魔」を用いて、指定の場所で「謎の六芒星を描く」「特定の詠唱を100回繰り返す」といった指示を出していたという。

しかし、その実態は「隣町の結界をこっそり弱体化させる」という極めて悪質なものだった。

今回被害に遭った(というか加害者になった)大学生のAさん(19)は、困惑した表情でこう語る。「最初は『庭の雑草を枯らす魔法の練習』って言われたんです。でも、現場に行ったら渡された杖が妙にドス黒くて。1時間くらい詠唱してたら、隣の市役所のゴーレムが暴走し始めて……。怖くなってギルドに駆け込みました」

近隣住民の女性(64)は「最近、夜中に公園でブツブツ言ってる若い子が増えて怖かった。ゴミ拾いのボランティアかと思っていたのに」と肩を落とす。

専門家は懸念を示している。 異世界社会学を研究するメルキオール教授(魔導大学名誉教授)は「最近の勧誘は、一見するとホワイトな『魔導代行サービス』を装っている。若者の善意やスキルアップ欲求につけ込む手口は、もはや古典的な呪いよりタチが悪い」と指摘する。

事態を重く見た市は再発防止策を検討している。 具体的には、SNS上での「高額報酬」「呪文名非公開」の募集に対し、自動で聖水をふりかける検閲システムの導入を急ぐ構えだ。

とはいえ、スマホの画面越しに「君の潜在魔力を社会のために」なんて言われたら、今の若者はつい杖を握ってしまうのかもしれない。健全な魔導ライフを支えるのは、高額ゴールドではなく、地道な瞑想と基礎修行であることを忘れないでほしいものだ。それにしても、時給10万ゴールドはさすがに盛りすぎだろう。

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